一般書籍

2022年5月に読んだ本

東京ゴースト・シティ 東京ゴースト・シティ 作者:バリー・ユアグロー 新潮社 Amazon 人気のある都市というのは、大概が過去に生きた人々の痕跡がじんわりと肌で感じられる。知日家でもあるナンセンス小説の名手ユアグローが、出版社の招へいに応じて短期逗…

2022年4月に読んだ本

フロイト、夢について語る フロイト、夢について語る (光文社古典新訳文庫 Bフ 1-5) 作者:フロイト 光文社 Amazon フロイトは名著『夢判断』のあとにもちょこちょこと夢と無意識とにまつわる論文を書いていたそうで、それらを集めた内容だけに(ん、先生その…

2022年3月に読んだ本

ゴーイング・ダーク ゴーイング・ダーク 12の過激主義組織潜入ルポ 作者:ユリア・エブナー 左右社 Amazon 巧妙化が進むインターネット上の極右の動きに対抗するために、国家とも繋がりの深いシンクタンクに所属する若き女性である著者が時には自ら対象団体に…

2022年2月に読んだ本

掠れうる星たちの実験 掠れうる星たちの実験 作者:乗代雄介 国書刊行会 Amazon サリンジャーへの作家論である表題作を中心に新刊レビューと未発表作を交えた短編小説とで構成された割と変則的な一冊。この人の書評、わたしよく分かんねえな。でも文章の表面…

2022年1月に読んだ本

平家物語 平家物語 池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 河出書房新社 Amazon 小説家の古川日出男による現代訳。自分は馬がかわいそうでつらいので騎上戦よりも舳先が細い船をかち合わせる海上戦の方を重点的に読んだ。しかしなかなかどうして、痛そうというか残…

2021年12月に読んだ本まとめ

ギケイキ(Ⅰ,Ⅱ) ギケイキ2: 奈落への飛翔 作者:町田康 河出書房新社 Amazon 一冊目は頼朝とともに平家打倒、源氏復興に立つまで、二冊目は兄の頼朝に政敵とされて都落ちする中で愛妾の静と別れるまで。現代日本に意識を置いたままらしき九郎判官義経が、く…

2021年11月に読んだ本まとめ

TOKYO REDUX 下山迷宮 TOKYO REDUX 下山迷宮 (文春e-book) 作者:デイヴィッド・ピース 文藝春秋 Amazon 日本の戦後を象徴する事件を題材にした三部作の最終巻。本書第一章は事件の捜査に直接係わったCID所属アメリカ人の高熱に浮かされるような視点、第二章…

2021年10月に読んだ本まとめ

文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室 文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室 作者:アーシュラ・K・ル=グウィン フィルムアート社 Amazon ル=グウィンの果敢で明晰な口調で実践的に文章を綴るための例題が繰り出されるので(テーマと仮説するための内容の…

2021年9月に読んだ本まとめ

海の鎖 海の鎖 (未来の文学) 作者:ガードナー・R・ドゾワ 国書刊行会 Amazon 編者が長い翻訳生活の中で選り抜いた、偏愛SFアンソロジーというコンセプトということもあり読んでみてすぐの印象はそれぞれ地味なのだが、構成やレトリックの巧みさ、テーマ性の…

2021年8月に読んだ本まとめ

植物忌 植物忌 作者:星野 智幸 朝日新聞出版 Amazon 植物が人体と融合する近未来の日本を舞台に、異なるシチュエーションの短編によるオムニバス小説。ジェンダーの可視化がサブテーマとなっていることでよりアクチュアリティが高まり、情感を抑制した文体が…

2021年7月に読んだ本まとめ

水底の女 水底【みなそこ】の女 (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者:チャンドラー,レイモンド 早川書房 Amazon 私立探偵フィリップ・マーロウが主役のシリーズ第四作。ミステリとしてギミックや構成の一般的な評価は特に高くないらしいが、自分がここまで読んで…

2021年6月に読んだ本まとめ

蜜のように甘く 蜜のように甘く 作者:イーディス・パールマン 亜紀書房 Amazon 老いと幼さとが同居しているような、淀んでいながらも透明な空気。直截にりんかくを辿らずに光の屈折でモチーフをとらえる文体はトレヴァーと類似するが、パールマンの方が被写…

2021年5月に読んだ本まとめ

〈わたし〉は脳に操られているのか 〈わたし〉は脳に操られているのか : 意識がアルゴリズムで解けないわけ 作者:エリエザー・スタンバーグ インターシフト Amazon 脳が単なる電気信号のやり取りで動くシステムに過ぎないのなら、人間の感情や“自由意思”に果…

2021年4月に読んだ本まとめ

炎と血 (Ⅰ,Ⅱ) 炎と血 Ⅰ 作者:ジョージ R R マーティン 発売日: 2020/12/17 メディア: Kindle版 炎と血 Ⅱ 作者:ジョージ R R マーティン 発売日: 2021/01/26 メディア: Kindle版 当世最高の異世界ファンタジーシリーズ「氷と炎の歌」のスピンオフである前…

2021年3月に読んだ本まとめ

闇のシャイニング 闇のシャイニング リリヤの恐怖図書館 (海外文庫) 作者:スティーヴン・キング,ジャック・ケッチャム,クライヴ・バーカー,べヴ・ヴィンセント,エドガー・アラン・ポー,ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト 発売日: 2020/09/02 メディア: 文庫…

2021年1月に読んだ本まとめ

マリーナの三十番目の恋 マリーナの三十番目の恋 作者:ウラジーミル・ソローキン 発売日: 2020/10/23 メディア: 単行本 80年代のソ連を舞台に、複数の男と簡単に寝るピアノ教師の美女マリーナの精神の変容が描かれる。マリーナはレズビアンだが、その心理は…

2020年12月に読んだ本まとめ

ホーム・ラン ホーム・ラン 作者:スティーヴン・ミルハウザー 発売日: 2020/07/10 メディア: 単行本 英語原著を二分割しての訳書一冊め。やや軽めの読み口の短編集になっているが、姿見がみせる仮初の自分や、自殺志願者のコミュニティを販売カタログ調に描…

2020年11月に読んだ本まとめ

江戸の人気浮世絵師 江戸の人気浮世絵師 (幻冬舎新書) 作者:内藤 正人 発売日: 2012/07/28 メディア: 新書 江戸時代の代表的浮世絵師15人を、当時の評論メディアによる番付や日本美術史における重要度をかんがみて選出。当時の相対的評価や、現代での研究上…

2020年10月に読んだ本まとめ

遊郭 遊廓 (とんぼの本) 作者:豪, 渡辺 発売日: 2020/06/29 メディア: 単行本(ソフトカバー) 現存する各地の遊廓建造物を写真で紹介したもの。色タイルとステンドグラスの多用が印象に残る。売春資本が公的認可され、やがてかつての苦界としての姿が溶解し…

2020年8月に読んだ本まとめ

掃除婦のための手引き書 掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集 作者:ルシア・ベルリン 発売日: 2019/07/10 メディア: 単行本 昨年の内に読んでおかなかったことが悔やまれる一冊。自伝的な短編の数々から浮かび上がる、客観性を保つ知性、豊かな経…

2020年7月に読んだ本まとめ

おれの眼を撃った男は死んだ おれの眼を撃った男は死んだ 作者:シャネル・ベンツ 発売日: 2020/05/20 メディア: 単行本 書名から連想するのはギャングノワールの陶酔感。しかしこれは違った。そのセリフが唇から漏れるのを端で聞かされる、暴力を振るわれる…

2020年5月に読んだ本まとめ

ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの (光文社古典新訳文庫) 作者:ジークムント フロイト 発売日: 2011/02/09 メディア: 文庫 系統だった学問で触れたわけではないので、自分にとってフロイトはいまだ有効な大…

2020年2月に読んだ本まとめ

穴あきエフの初恋祭り 穴あきエフの初恋祭り 作者:葉子, 多和田 発売日: 2018/10/18 メディア: 単行本 著者の住むドイツ以外を舞台とした短編が集められており、まずそこが新鮮だった。短編の中でモバイルデバイスとコミュニケーションの位相をズラす描写が…

2020年1月に読んだ本まとめ

ポストモダン建築巡礼 (第2版) ポストモダン建築巡礼 1975-95 第2版 作者:磯 達雄,宮沢 洋 発売日: 2019/11/14 メディア: 単行本 日本全国の秀逸なポストモダン建築を、豊富な写真画像と熱が適度にこもった説明文、さらには見どころを押さえたイラストとで綴…

2019年12月に読んだ本まとめ

神戸・続神戸 神戸・続神戸 (新潮文庫)作者:西東 三鬼出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2019/06/26メディア: 文庫俳人・歯科医・輸入商とさまざまな顔を持つ著者から見た国際都市・神戸の戦中と戦後の雑多な光景。自分はどこか枯れた空気と乾いた匂いが漂う『…

2019年11月に読んだ本まとめ

私たち異者は 私たち異者は作者:スティーヴン・ミルハウザー出版社/メーカー: 白水社発売日: 2019/06/25メディア: 単行本現代アメリカを舞台にして、社会の変容や人間関係の動きを淡々と綴る。表題作は突然オバケとなった男性と孤独な女性ふたりの奇妙な暮ら…

2019年9月に読んだ本まとめ

夢の本 夢の本 (河出文庫) 作者: ホルヘ・ルイス・ボルヘス,堀内研二 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2019/02/05 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る 「夢」にまつわる記述を、さまざまな時代・場所・様式の書物からセレクトして抜粋した博…

2019年8月に読んだ本まとめ

短編画廊 短編画廊 絵から生まれた17の物語 (ハーパーコリンズ・フィクション) 作者: ローレンスブロック,スティーヴンキング,ジェフリーディーヴァー,マイクルコナリー,リーチャイルド,ジョー・R ランズデール,ジョイス・キャロルオーツ,ロバート・オレンバ…

子猫誕生からまもなく三週間。標準的に10日前後で眼がそろって開いた四匹は、ほぼ同じ発育ぶり。ここ数日はお互いにじゃれあうような素振りさえあり、毛づくろいの前身のような仕草(余談だがこの子猫が薄い自分の肢先をしゃぶる様子が私は大好きだ)を見せて…

父の命日で菩提寺へ。ここ数日の朝晩の冷え込みで自律神経の調子を崩しており車中は難渋したものの、到着したあとはスッと気分が良くなったのが不思議。それで、亡くなった当日の父の心持ちをあらためて想像しながら、ご住職の読経で手を合わせた。 「闇の中…