2023年10月に読んだ本

最後の三角形 最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選 (海外文学セレクション) 作者:ジェフリー・フォード 東京創元社 Amazon 「タイムマニア」は片田舎で幽霊に導かれた少年が町の住民が複雑に絡む犯罪の謎解きをする。その過程でインフェルノを垣間見…

天に星、地に花、人は怨 -NETFLIX『陰陽師』-

多分に伝説的な人物である安倍晴明を主人公とした夢枕獏による小説シリーズ「陰陽師」はこれまでにも沢山の映像化、漫画化が成されているが、このNETFLIXが全13話のアニメシリーズとして製作した『陰陽師』はそのなかで最も地味なルックの作品となるのではな…

2023年10月に観た映画

大いなる自由 ('21 オーストリア、ドイツ/監督:セバスティアン・マイゼ) ざらざらとした光線の撮り方が実にドイツ風土のイメージに合致。まるでブルーフィルムが上映されているかのような冒頭の審理シーンが、性愛というプライベートの最たるものを成人同…

2023年8月に観た映画

バービー ('23 アメリカ/監督:グレタ・ガーウィグ) 序盤のバービーが朝の支度を終えて家を出るまでが自分の中で最高潮だった。遊ぶ子供の手によってふわりと下へと降ろされるようにカーポートへと舞いおりる。あるいはその後からはプラスティカルで平面的…

2023年8月に読んだ本

オレンジ色の世界 オレンジ色の世界作者:カレン・ラッセル河出書房新社Amazon吹雪の山頂で開かれているパーティーでタダ飯を食うために凍えながらリフトで運ばれる親友同士の少女たち(パーティー客たちは「シャイニング」のホテルの人々のような存在感)、…

第71回2024冬調査

アニメ調査室(仮)さんにて開催中。以下、回答記事です。2024冬調査(2023/10-12月期、終了アニメ、72+2作品) 第71回01,SHY,x 02,Helck,x 03,まついぬ,x 04,カミエラビ,x 05,ミギとダリ,x06,MFゴースト,x 07,ビックリメン,A 08,ブルバスター,Z 09,星屑テレパス…

2023年秋(第4クール)アニメ所感

今期はバラエティ豊かで満足度高い視聴ラインナップになりました。ビックリメン:脚の関節のあえての歪みとか、表情パーツの解釈とか武井宏之キャラ原案の活かし方上手すぎます。そしてフレッシュな声優陣と綾奈ゆにこシリ構ならではのキャラクターのユニー…

第70回2023秋調査

アニメ調査室(仮)さんにて開催中。以下、回答記事です。2023秋調査(2023/7-9月期、終了アニメ、61+3作品) 第70回01,てんぷる,x 02,英雄教室,x 03,百姓貴族,x 04,ぼさにまる,x 05,AIの遺電子,x06,いきものさん,B 07,おかしな転生,x 08,贄姫と獣の王,x 09,AYAK…

2023年7月に観た映画

君たちはどう生きるか ('23 監督:宮﨑 駿) 後半の展開にとりとめがなさすぎるのは「ハウルの動く城」以後の宮﨑監督の悪癖だと思っているので、今回も自分は積極的に評価できないし、そもそも作品からのメッセージが観たあとに何も残らなかった。とはいえイ…

2023年6月に読んだ本

マナートの娘たち マナートの娘たち (海外文学セレクション)作者:ディーマ・アルザヤット東京創元社Amazonアメリカ人として生まれ育ったアラブ系二世の眼から見た日常の姿を活写する鮮烈な短編集。映画産業のインターンとして夢と希望を持った女性が現実を徐…

最近読んだ漫画:2023夏

追燈 追燈 (アクションコミックス)作者:岡田索雲双葉社Amazon体験者の死後も続く無念を、語り部が受け継ぐ意味を静かに、表現の技巧を凝らして肉付けされた短編作品。漫画の題材として関東大震災での朝鮮人虐殺がもちいられたのは初めてではという作者の指摘…

2023年6月に観た映画

聖地には蜘蛛が巣を張る ('22 デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランス/監督: アリ・アッバシ) 監督の前作「ボーダー 二つの世界」は強い質感を放ちながらも複数の社会要素のストーリー上での咀嚼が荒い気がしていたが、本作ではそのウィークポイント…

2023年4月に読んだ本

不死鳥と鏡 不死鳥と鏡 (論創海外ミステリ 288)作者:アヴラム・デイヴィッドスン論創社Amazon色仕掛けにはまって、探偵の役回りを押し付けられる凄腕魔術師という発想がまず天才。ハイファンタジーとミステリーの両方が楽しめる。推理パートのバディ役がまた…

2023年4月に観た映画

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り ('23 アメリカ/監督:ジョナサン・ゴールドスタイン、ジョン・フランシス・デイリー) ディズニーランドやUSJのアトラクションを3つほど入った後のような満足感が得られる。こんなまったき充実感を得られる…

2023年3月に読んだ本

フィールダー フィールダー (集英社文芸単行本)作者:古谷田奈月集英社Amazon書題は社会問題の当事者を指している。主人公がゲームフリークという設定から、実際にバトルフィールドで応戦するプレイヤーというイメージから採られている。序盤は出版社に勤める…

2023年3月に観た映画

ベネデッタ ('21 ベルギー 監督:ポール・バーホーベン) 異端審問というより現代法廷劇に近いテンポの二転三転する展開にハラハラさせられ、そしてすべてを押し流すような怒涛の混乱バイオレンス=カタルシス。聖女伝説のように始まった物語は、西部劇のハ…

2023年2月に観た映画

かがみの孤城 ('23 監督:原 恵一) 「カラフル」以前のIP作品で発揮されていたドラマカタルシスのための演出と、以降の現実と劇中人物の情感とがリニアに繋がるための実写的な間接表現とのバランスが見事で、またテーマ性からくるシビアさと画面の総合印象が…

第69回2023夏調査

アニメ調査室(仮)さんにて開催中。以下、回答記事です。(リストは次の行から)2023夏調査(2023/4-6月期、終了アニメ、55+8作品) 第69回01,地獄楽,A 02,推しの子,x 03,僕とロボコ,A 04,絆のアリル,x 05,天国大魔境,z 06,Opus.COLORs,x 07,江戸前エルフ,x 08,勇…

最近読んだ漫画:2023春

K2 K2(42) (イブニングコミックス)作者:真船一雄講談社Amazon公式サイトで400話以上が数か月に渡って無料開放という太っ腹企画で、この名作が広く知られるようになって目出度いし、かつて雑誌連載で読んでいた自分も、まとめて読み直すと大河ものの風…

2023年2月に読んだ本

ジャクソンひとり ジャクソンひとり作者:安堂ホセ河出書房新社Amazonステレオタイプと差別との合わせ技によって、そもそも個性すらはじめから奪われている黒人ミックスルーツの若いゲイ4人が、ポルノ動画配信の謎をめぐって一つの冒険に出る。ファッションブ…

2023年春(第2クール)アニメ所感

「鬼滅の刃 刀鍛冶の里編」 ギャグのテンポ、ストーリー展開の滑らかさなどこれまでのシリーズにあった不満点が解消されている上に、シリーズ構成がより練られている感触があり、非常に面白い。無一郎と蜜璃それぞれの動きの魅力もよく再現されており、毎回…

第68回2023春調査

アニメ調査室(仮)さんにて開催中。以下、回答記事です。 (リストは次の行から)2023春調査(2023/1-3月期、終了アニメ、83+1作品) 第68回01,TRIGUN STAMPEDE,A 02,Buddy Daddies,F 03,D4DJ All Mix,x 04,HIGH CARD,F 05,REVENGER,x 06,うまゆる,x 07,ぷにるん…

最近読んだ漫画:2022冬

DYS CASCADE DYS CASCADE(1) (月刊少年マガジンコミックス)作者:中川海二講談社Amazon既刊2巻。カスケード、段状の滝とは司法の段階を示して国民が犯罪と冤罪の両方から守られる概念をこの場合は意味している。複数人の血で満たされたバケツに…

2023年1月に読んだ本

夜毎に石の橋の下で 夜毎に石の橋の下で作者:レオ・ペルッツ国書刊行会Amazon16世紀のプラハを舞台に夢幻的な繋がりで運命が結ばれた人々の姿を連作方式で描く。人生のままならなさに対して真摯であるゆえに、こともなげに軽快な文体で綴られるというペルッ…

2023年1月に観た映画

ナイブズアウト:グラス・オニオン ('22 アメリカ/監督:ライアン・ジョンソン)配信オンリーなのがもったいないほどゴージャスな画面づくり、またシリーズ前作が未見でも単品として楽しめるなど、Netflix会心の一作。無人島の豪邸に集められた旧友同士のセレ…

第67回2023冬調査

アニメ調査室(仮)さんにて開催中。以下、回答記事です。(リストは次の行から)2023冬調査(2022/10-12月期、終了アニメ、47+2作品) 第67回01,忍の一時,x 02,後宮の烏,x 03,風都探偵,z 04,虫かぶり姫,x 05,不徳のギルド,x 06,チェンソーマン,A 07,恋愛フロップ…

2023年冬(第1クール)アニメ所感

今期はひさしぶりに自分の好みに合うシーズンになりそうなので、視聴継続しそうな作品をリストアップしてみます。順番はdアニメストアで更新される曜日順。The Legend of Heroes 閃の軌跡 Northern War 近世ヨーロッパ風ファンタジー戦記。怪物倒しと政治劇…

敗れし者たちがステップを踏むとき ~2022年アニメいろいろ~ 

2022年のアニメは…と思う時、サイエンスSARUが送り出した姉妹作品「平家物語」と「犬王」の二つが真っ先に浮かんでくる。これらは結局何を謳っていたかというと、共感による交換性という"宝物"はつねに精神と呼ばれる"海"の底に眠っているという確信。それを…

2022年12月に読んだ本

アホウドリの迷信 アホウドリの迷信 現代英語圏異色短篇コレクションスイッチパブリッシングAmazon二人の翻訳者が、近年の英語圏短編小説から気になる作品を持ち寄る形式のアンソロジー。意図せざる結果と思うが、男女比率は1:7で女性作家が多い。主観と…

2022年12月に観た映画

ある男 ('22 監督:石川 慶) 石川監督はデビュー作「愚行録」以降、少しずつ作劇や演出にウエットさを加えていっており、たとえば本作では弁護士がファイルを顧客の前でバンと叩きつけるカット、ジムのオーナーが煮え切らない弟子の態度に激昂するシーンなどは…