2023年1月に読んだ本

夜毎に石の橋の下で

16世紀のプラハを舞台に夢幻的な繋がりで運命が結ばれた人々の姿を連作方式で描く。人生のままならなさに対して真摯であるゆえに、こともなげに軽快な文体で綴られるというペルッツ小説の特長が緻密な構成でさらに印象を強められる。突き放したような語り口ではあるもののどこか弱者に対して共感があり、それが余韻となって青い夜の街を登場人物たちとともにさまよっているような雰囲気に次第に包まれていく。王と異教徒の美女、囚人と野良犬、豪商と学徒、薔薇とローズマリー、昼の生活と夜の夢想。