「ファイ・ブレイン 神のパズル」第22話『志を継ぐもの』

通常、10代の少年少女がメインキャラクターの作品でかつ同年代の視聴者をターゲットに企画されたアニメではあまりライフステージの進行については意識されずに製作されることが多い。が、本作ではその点をキャラクターと世界に厚みを持たせるために効果的に用いているエピソードがよくあり、今回の学園時代の真方ジンの顔立ちが主人公であるカイトとよく似ているという言語化されないままの描写も、おそらくはそこに立脚点がある。このままでパズルに没入する道をすすめばカイトはジン同様に廃人化する確率が高く、カイト同様にジンにも強い絆で結ばれた仲間がいたにも関わらず、という要素がさらにシビアな世界観を示す。また、主人公たちとは近似の構図でありながら別世代の志とその結果を描くことで、パズルという肥大しすぎたモチーフを一般性のある方向へと軌道修正する役割を為した回ともなっており、カイトとジンに血縁関係がある可能性をトリッキー気味に残した趣向とともに、またまた構成の巧さに唸らされたターニング・ポイント回であった。