ブレードランナー2049 ('17 アメリカ/監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ)

前情報を持たずに観に行ったら、無印「ブレードランナー」から直線的に繋がったプロットだったので虚を突かれた。自分としては、この監督の演出傾向だったら別のキャラクター構成で前作とは違う語り口で観たかったなと思うのだが。メーカー会社内での震える生まれたての羊のような女性レプリカントが商品として吟味されるシーンがいちばん印象に残った。あと冒頭で、思わせぶりに煮込まれつづける鍋の中身が気になったなあ。主人公が肩透かしをうける中盤の展開には、なにかアクチュアルな示唆があったように思う。恋人ホログラムをシラフで受け入れる主人公といい、自らの精神の空虚さが前提となった現代性を感じる映画であった。