エンド・ゲーム

エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)

エンド・ゲーム 常野物語 (常野物語)

常野物語シリーズ第三作。こちらは現代の東京が舞台。オセロゲームのように事の正当性が裏返され、どちらが真実とするべきか分からなくなる恐怖を日々おぼえつづけるヒロインの母の述懐が印象的。大きい物語に抗する悲劇性すら現代においてはつかめなくなっているという空虚さは、小さな物語の中で堂々めぐりをするしかない現在を正しく切り取っているといえるかもしれない… が、どうにも長編にしては内容が薄い印象もある。中篇に切り詰めてまとめた方が完成度は上がったと思う。