大拳銃('08/大畑創)

拳銃密造、黒社会への取り込み、不景気による町工場閉鎖と陰惨な展開を予測して身構えてしまいそうな要素で構成されながらも、淡々かつ大胆に飛躍するクライマックス(工場主の若い妻役が最功労演技賞)まで、そしてエピローグでも余分な残虐ぶりのないストイックさというか、節度と引き換えのユーモアぶりが非常に気に入った。昭和映画のような質感がフィックスされているが、そこにある気分はたしかに2000年代のものだ。低予算の小品(上映時間は30分ほど)ながら、その手作り感もかえって興にのる回路へと変換されている。