東のエデン 劇場版 II Paradise Lost ('10/監督:神山健治)

単品の劇場作品としては物足りなかったかなとは思ったものの、後味はさわやかなのでこれはこれで佳い。なんたって、一番アクションレベルが高いのはヒロインが別れ際に主人公の腕を取るシーンなのだから、自ずとドラマの主幹は見えるというもの。
まあヒロインとはいえ、主人公視点を与えられているのは滝沢朗ではなく咲の方なので、王子様が王子様で在り続けられるシナリオを描けた神山監督の手腕の確かさを自分は評価する。政治テーマ的にははぐらかされた印象はあるものの、それもまた時代の色の表現だと思えばいいし、どうにも大戦時の特務残党であるとしか見えない老人と自分が誰かも分からず何者にもなりきれない若者との和解をほのめかすシーンを入れたどうにかこうにかの気配りもアイデアとしては良いと思う。