チャイルド44 森に消えた子供たち('15/アメリカ 監督:ダニエル・エスピノーサ)

ソ連時代に一地方で起こった児童連続殺人事件というメインモチーフだが、演出上の主眼はその背後に置かれている国民相互の密告が横行したスターリン体制下の非人間性にある。たとえばヒロインの同僚の女性教師が聴取のために連行されていくシーンの悲鳴など、臨場感に溢れて非常に恐ろしかった。明らかに凶悪犯の受刑者らしきたち暗殺者が列車内で主人公と妻を襲うシーンも、かつて満州で逃げ遅れた日本の民間人が遭遇した兵隊に混じっていたというならず者たちを想起したりもする。とにかく、細部にリアルが充ちている。終盤は、殺人事件の真犯人の心理吐露がやや足りてない感じがあるし、主人公夫妻が実行する罪ほろぼしの行為の見せ方に安易さを見ないでもなかった。そこは少し惜しく思う。