アニメ(単発)

OVA「真(チェンジ!!)ゲッターロボ 世界最後の日」('98/全13話 監督:川越 淳)

ついにゲッターロボOVA三作の起点たるチェンゲまでさかのぼってきた。たしかBS放送で視た時は第1話で挫折し、それからも配信で3、4回は試みが途絶した自分にとってはまあまあの曰くつき作品である。なにしろ画面の中でキャラクターが何をやっているか、敵対…

OVA「真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ」('00/全4話 監督:川越 淳)

タイトルで味方のロボット同士がガッツリ戦闘しあうストーリーを連想するが、組み合いません。というか二体並んで立ってるシーンすらありません(OP除く)。かつて昭和年代に子どもたちを映画館へ吸い寄せていた「東映まんがまつり」へのオマージュをストーリ…

OVA「新ゲッターロボ」(’04/全13話 監督:川越 淳)

昨年にTV放送されたゲッターロボシリーズの最新作「ゲッターロボアーク」でなぜか急にゲッター線に目覚めてしまった(伏線としては幼少期に読んだ石川版ゲッターロボがある)余波として、同シリーズの平成OVA三作の掉尾を飾る「新ゲッターロボ」をはじめて最終…

夜は短し歩けよ乙女('17/監督:湯浅政明)

酒豪の女子大学生と彼女に惚れてそれとなくつきまとう先輩学生のすれ違いの冒険を、四季を一晩でめぐるという趣向で描く。めくるめく映像体験という意味では満足できたし腰をおもいきり低くしてアヒルのように口をつきだし練り歩く『詭弁踊り』や春画コレク…

この世界の片隅に('16/監督:片渕須直)

夕凪の美しさの裏面に爆心の叫喚が、家族の笑い声の隣に疎外の無表情が、美的感覚の背後に絶対孤独が棲んでいる。この映画では世界の片側が常に通奏低音で置かれて演出される。その徹底ぶりが画期的だったということであり、それが批評家以外の鑑賞者にも届…

百日紅〜Miss HOKUSAI〜('15/監督:原 恵一)

「カラフル」から劇場で監督の作品を観始めた自分だが、ここまでの三本の作品で共通する印象があって、それを何かに例えて表現するとすれば“日光写真”がもっとも近い。当てる光は淡く、像が定着するまで時間はかかるが、なぜか記憶の中にずっと残る手触りを…

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス('14 フィンランド/監督:グザビエ・ピカルド)

オープニングアニメは原作のイメージ通りの描線タッチや色彩感覚が強い。そこから主な舞台である海辺のリゾート地へ移ることで、少しずつ太陽の色であるイエローが主調になっていき、そしてムーミン谷へ帰還するエピローグ部ではまたシックな色調に戻ってい…

ジョバンニの島('14/監督:西久保瑞穂)

終戦直後の色丹島住民の苦難が題材となっているが、これは単純な戦争批判映画ではまったくなく、あえてジャンルにわけるとすればチャイルドフッド・ムービーだろう。後悔の苦さをも含めて、子供時代のきらめきを大人になってから顧みる視点で作られている。…

変態アニメーションナイト2014 (プログラム選出:土居伸晃)

「変態」と書いて「メタモルフォーゼ」と読むのが正式名称。その名のとおり、事物のフォルムが変化していくアニメーションの形式を純粋に楽しむ抽象に寄った系統の中短編11作で構成されているオムニバス。 自分にとっては全員が初めて知る監督だったが、若手…

たまこラブストーリー('14/監督:山田尚子)

ラストシーン、もち蔵が感極まって片手でうつぶせた顔を隠すようにする仕草。それはテレビシリーズの中盤でみられたものと同じだ。時の流れで変わっていくものとずっとそこに在りつづけるもの。ゆったりとした演出をテレビシリーズから維持しつつ、主人公た…

かぐや姫の物語('13/監督:高畑勲)

数週間経った今、かぐや姫が最後に見せた表情の意味にとらわれつづけている。そこに含まれた言葉にならない感慨。彼女はふたたび、地上に生まれてくる。私はそう結論づけた。そしてまた後悔する。混乱と悔悟の中、生を閉じる。それでも、みたびよたび、地上…

「コードギアス 亡国のアキト」第一章『翼竜は舞い降りた』('12/監督:赤根和樹)

TVシリーズ第一期と第二期の間にユーラシア大陸で起こっていたブリタニア帝国とEU共和国との紛争を描くOVAシリーズ。背景をロングショットで映す尺の長さなどに劇場上映作らしい体裁が感じられ、またキャラ描写における主観性の比重などにもTVシリーズとの差…

風立ちぬ('13/監督:宮崎駿)

近作「千と千尋の神隠し」や「ハウルの動く城」では前半と後半とで描写におけるリアリティレベルが変わっていた(違う言い方をすれば物語のある時点で別次元に移ったように見えた)のが気になったが、この作品では最初から主人公は「夢を起きてからも視続けて…

花の詩女 ゴティックメード('12/監督:永野護)

ジャンルは永野護! これはダサいやろ…と思う演出や趣向、台詞も「NAGANO is Only ONE」ですべて合点がいく上に、あまつさえ感極まって落涙までしてしまう(作者が制作には関わらない契約だった劇場版FSSから数十年経ってよもや永野純正ワールドがアニメ化さ…

星を追う子ども('11/監督:新海 誠)

劇場アニメーション『星を追う子ども』 [Blu-ray]出版社/メーカー: メディアファクトリー発売日: 2011/11/25メディア: Blu-ray購入: 1人 クリック: 102回この商品を含むブログ (25件) を見る「日本アニメーション」のキャラクターが「スタジオジブリ」世界で…

Arrugas (皺) (’12 監督:イグナシオ・フェレラス)

スペイン出身の漫画家パコ・ロカの老いと友情をテーマにした作品をアニメ化。透明感のある画面が非常に美しい。銀行マンとしてバリバリ働いていた頃の気概を残しつつ、現実と記憶の世界とが混濁した日々を過ごすエミリオが、息子夫婦に伴われてサービスと施…

009 RE:CYBORG ('12/監督:神山健治)

ミニマムに絞られた脚本の割には、派手な破壊シーンや躍動感のあるアクションが多いため、ボリューミィな印象はなかなかのもの。自分にとっては初めての3D映画体験となったので、他との比較はできないが違和感なく疑似立体ショーを楽しめたので、映画館に足…

劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning- ('12/監督:米たにヨシトモ)

テレビシリーズを再編集して、細部の異なるエピソードを組み立てなおす体裁の劇場版で、これまでに観た中ではもっとも違和感なく娯楽映画として楽しめた。「キャラクターの性格」「世界観を表現する美術設定とそのギミック」「SFアクションのためのガジェッ…

グスコーブドリの伝記('12/監督:杉井ギサブロー)

主人公の心情が、フィルム上にしっとりと定着する前に場面が移ってしまうために感情移入がおもいのほか難しい。これなら、もっとストレートに家族愛や自然への畏怖を前面に出した方がよかったかもしれない。自己犠牲精神の是非や有無を鑑賞者に委ねる形にし…

よんでますよ、アザゼルさん。ルシファー編

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機動戦士ガンダムUC 第4話「重力の井戸の底で」

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ももへの手紙('12/監督:沖浦啓之)

冒頭、フェリーの甲板で潮風になぶられる少女の健康的な足首に意識が引き付けられる。そこにある空気感は、あるいは実写以上に濃いものだ。なぜならアニメーション映画である本作は、一から人の手によって描き出され構築されているのだから。ストーリーは至…

「宇宙戦艦ヤマト2199」第1話プレミア放送

テレビシリーズ2クール編成として作られているらしいが、先行してソフト販売や劇場上映が行われるという変則的な商法による、超人気作品のリメイク版。 当世風にリファインが施されたデザイン設定と、本来の特色である旧日本軍風美学とを手堅いバランスで成…

アニメミライ「BUTA」

文化庁による若手アニメーター支援企画が二年目にして名称変更。劇場公開とは別に四週分割でアニマックスにて放映。その第一週はテレコム・アニメーションフィルム制作の明朗活発アニマル時代劇。擬人化なれど、ペットとしての猫は四本足で登場する…のはまだ…

UN-GO episode:0 因果論

ありふれたといってもさほど離れてない生い立ちと巷によくいる基本的に善良ながら受動的な性質を持つらしき青年のモノローグと少年時代の回想場面から始まる序盤から、“自分探し”の海外への放浪に出るあたりまでは心象風景系日本映画の風合いだが、突然なが…

機動戦士ガンダムUC3「ラプラスの亡霊」('11/監督:古橋一浩)

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コクリコ坂から('11/監督:宮崎吾郎)

気候穏やかそうな港町の歴史ある高校で『カルチェ・ラタン』と呼ばれる古く雑然としたクラブハウスが取り壊されるという騒動が勃発。それをきっかけとして出会う男女学生の恋愛ドラマを軸に、積み重ねられた時間の掛け替えのなさを描く叙情映画。事前に断片…

「鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星」('11/監督:村田和也)

劇場版でしかやれない構成、作画を見せてくれたという意味で、さして原作ファンでもない自分も大満足。これまでのハガレンアニメの中ではダントツに好み。整ったキャラ絵とはまた違う方向、つまり動きとそれに伴ってやわらかく変化するフォルム取り(まろやか…

若手アニメーター育成プロジェクト PROJECT A

文化庁が資金を提供して、応募のあった制作スタジオから企画を選出するという形で若手アニメーター(中心原画マンのインタビュー映像を見るにおおよそ、30代までといった感じ?)の育成をサポートするという短編制作プロジェクトで、毎年行われるらしい。その…

機動戦士ガンダムUC (2)「赤い彗星」

機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) [Mobile Suit Gundam UC] 2 [Blu-ray]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2010/11/12メディア: Blu-ray購入: 25人 クリック: 363回この商品を含むブログ (86件) を見る当然ながら第1巻よりも説明台詞的なものは減…