女が女を演じる

女が女を演じる―文学・欲望・消費

女が女を演じる―文学・欲望・消費

明治から大正にかけての百貨店広告や演劇舞台に小説文芸などのコンテンツ資料から探る、女性がいかに社会が文壇を通じて発するジェンダー圧力や資本からのイメージ誘導によって“自然な女性”という逆説的かつ皮相な作為によって象られた自己像を内的規範化するに到ったかを追った研究書。引用を多用したスタイルがどうにも論文を読む訓練を受けてない自分には読みづらく、そのためか論点に飛躍が多々あったようにも思えるのだが、たとえばかつての百貨店では芸者をモデルとした写真広告を作っていたとか、化粧品メーカーは自社商品名を盛り込んだ小説に懸賞をかけて一般公募しており女性が多く投稿していたとか、宝塚歌劇には男性ファンも意外にいて中には脚本を買い求めて舞台と首っ引きになる熱心な客もいただとか小話的読物として楽しんだりした。