お嬢さん('16 韓国/監督:パク・チャヌク)

原作はイギリスのミステリ小説『荊の城』だが、舞台も時代も刷新されているので、"原案"程度に捉えた方がいいと思う。日本統治下という設定から予想される政治要素はほとんど皆無で、テーマの一つである女性解放も社会に向けて開かれるというまでのスケール感はないので、あえて箱庭の美しさを追求したともいえる艶笑劇としては手堅い。自分としてはもっと同性愛の緊迫する瞬間があれば没入感が持てたかなと思うが。日本語で連発される猥語の可笑しさとインパクトは絶大な効果。