2020冬期のアニメ視聴状況

いやあ、録画が出来ない状態となりまして。

ゆえに「映像研には手を出すな!」は視たり視なかったりです。

 

ドロヘドロ

カオスは踊る。汚泥は流れる。ティーヴィーなんぞこれでいいんだよ!というアナーキーぶりに目が離せない。

ID:INVADED

しゃらくせい…と思わないでもない舞城脚本だけど、あおきえい監督はよく噛み砕いて出してきてる。しかし斬新な発想、それ以上に大胆な切り口。犯罪ものでペラリとした平面性の高いキャラクターデザインを持ってきてる異化効果も高い。

ソマリと森の神様

サテライトの異世界美術は品があっていい。

ほのぼの異種家族ものの遠景に人間絶滅設定がサラリとあるギャップにヒンヤリとしてる。

 

(前期からの継続)

歌舞伎町シャーロック

一本調子にならずに気楽に楽しめる。ゆっくりとキャラの人となりが分かっていく趣向も良し。

 

もうぜーんぶネトフリで視てまーす。いよいよスマホにDLして会社の昼休みにも視てるしね。

第55回2020冬調査

アニメ調査室(仮)さんにて開催中。以下、回答記事です。


2020冬調査(2019/10-12月期、終了アニメ、50+1作品) 第55回

01,ぬるぺた,x
02,Dr.STONE,f
03,BEASTARS,B
04,炎炎ノ消防隊,f
05,どるふろ 癒し編,x

06,神田川JET GIRLS,x
07,Z/X Code reunion,x
08,食戟のソーマ 神ノ皿,x
09,あんさんぶるスターズ!,x
10,この音とまれ! 第2クール,x

11,星合の空 ほしあいのそら,B
12,ACTORS Songs Connection,x
13,俺を好きなのはお前だけかよ,x
14,ばなにゃ ふしぎななかまたち,x
15,天華百剣 めいじ館へようこそ!,x

16,ポケットモンスター サン&ムーン,x
17,私、能力は平均値でって言ったよね!,x
18,Fairy gone フェアリーゴーン 第2クール,B
19,スタンドマイヒーローズ PIECE OF TRUTH,x
20,GRANBLUE FANTASY The Animation Season2,x

21,慎重勇者 この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる,x
22,警視庁 特務部 特殊凶悪犯対策室 第七課 トクナナ,x
23,本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでられません,x
24,ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld,x
25,超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!,x

26,シルバニアファミリー ミニストーリー クローバー,x
27,少年アシベ GO!GO!ゴマちゃん 第4シリーズ,x
28,兄に付ける薬はない!3 快把我哥帯走3,x
29,ぼくたちは勉強ができない! (2期),x
30,ライフル・イズ・ビューティフル,x

31,妖怪ウォッチ! (2019年版),x
32,放課後さいころ倶楽部,x
33,戦×恋 (ヴァルラヴ),x
34,浦島坂田船の日常,x
35,旗揚! けものみち,f

36,おどるモワイくん,x
37,エイリは王さま!,x
38,真・中華一番!,B
39,厨病激発ボーイ,x
40,ヴィンランド・サガ,f

41,アサシンズプライド,x
42,ノー・ガンズ・ライフ,x
43,アフリカのサラリーマン,x
44,(10月終了) トライナイツ,x
45,(10月終了) BEM,f

46,(全8話) XL上司。,x
47,(全8話) PSYCHO-PASS サイコパス3,z
48,(13-24話) ハイスコアガールII+OVA,x
49,(ネット配信) モンストアニメ 第3期,x
50,(ネット配信) ガンダムビルドダイバーズRe:RISE,x

t1,(10話までの暫定評価) アズールレーン,x

(寸評)

BEASTARS」B:隙のない造りと安定した出来だったが、自分にはいまひとつ合わなかったかキャラを好きになりきれなかった。
「星合の空」B:アニメでスポーツを描く快感に満ちていた。でもシナリオはやはり脚本家に書いてほしい。そして次期放送が実現しますように。
「Fairy gone 第2クール」B:1クール目でのもたつきが大分解消されていた。バトル描写のリソースを終盤に集中させていた姿勢、有りだと思う。
「真・中華一番!」B:B級アニメとしての工夫が随所に散りばめられており、安心して楽しめた。金属製の箸の音が妙に耳に心地よかったなあ。

話数単位で選ぶ、2019年TVアニメ10選

shinmai.seesaa.net
新米小僧さん、今まで集計ほか舵取り、ありがとうございました。


ブギーポップは笑わない」第3話『ブギーポップは笑わない3』
解決編。天使なのかい!というベタさとお前が切り札か!という意外性が小気味良かった。

「賭けグルイ××」第10話『理の女』
極上の百合回。というか月夜の花園に立つ塔という舞台が美しすぎる。

「Fairy gone」第22話『終焉のパレード』
こちらも感極まるシスターフッド市ノ瀬加那の演技は今年なんども良いなと思わされた。

「さらざんまい」第5皿『つながりたいけど、許されない』
サイン会のどたばた。この回の悠のコメディリリーフぶりがかわいくて。

ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」第26話『ほんの少し昔の物語 ~ぼくの名前はドッピオ~』
緊迫してるけど止めどなく笑えてくる、ジョジョのこういう回がほんとたまらん。

BEASTARS」第4話『君は聖杯までふやかして』
演劇丁々発止。照明の完璧なコントロールでこの作品は3Dアニメでむしろ正解だったとすら思わされた。

鬼滅の刃」第19話『ヒノカミ』
原作の人気潜在力が、制作スタッフの純粋なリスペクトの結晶により開花。あの瞬間の鳥肌が立つような感動は忘れられない。

進撃の巨人3rd season」第55話『白夜』
悪夢のような味方内部の膠着状態。明けないかのような白夜に終止符を打つリヴァイの心理が、見るほど深く響いてくる。

「星合の空」第7話
実の父親からDVを受け金をむしられる眞己と、申し分ない富裕層の子息アラシが軟球を追うときだけはお互いまったくの無心となる。中学生にはこういう純粋時間が必要なんだと気付かされるラリーのシーン。

「風が強く吹いている」第23話『それは風の中に』
こちらはもっと複雑かつ個別に負うものが出る大学部活。なにはともあれワカメの崩れ落ちて地を拳で打つ様に胸がスッとしちゃったので…


(番外ネトフリ枠)
「CANNON BUSTERS」第6話『フェッターと囚われの街』
主人公が本当にクズで無気力。ネトフリならアニメでこれもアリなんだな~

附記:今年のOP/ED5選
「さらざんまい」OP
ブギーポップは笑わない」OP
「賭けグルイ××」ED
Dr.STONE」OP
「歌舞伎町シャーロック」OP

2019年12月に観た映画まとめ

ドクター・スリープ ('19 アメリカ/監督:マイク・フラナガン)

プロットだけを見るなら前作『シャイニング』のイメージから離れてるし、途中の山場である銃撃戦に至る心理ステップはやや不足と感じたが、メインキャラ二人の人物構築を表現する脚本とホテルに入ってからの演出は素晴らしかった。ダニーとアブラの社会の繋がりの周辺に押しやられつつ傷ついても、なお主体を持って生きようとする勇気には非常に励まされる。

 

この世界の(さらにいくつもの)片隅に ('19 監督:片渕須直)

すずのひとりの女としての暮らしと思いのデティールアップが、彼女をハブとした人々の個々を更に際立たせ、モザイクの面積はより広がり、そしてそれらは角を擦り合わせることで火種すれすれの燻りを起こす。狂気と正気、悲劇と喜劇。区別がつかず混ざり会う世界のなんと豊かで恐ろしいこと。ところで無印版ではすずのセリフだったものが今作では周作とリンに振り分けられていた箇所があった気がする。主観と客観の枠すら揺さぶってくるようだ。

 

(配信・衛星放送で視たもの)

ダージリン急行

ウェス・アンダーソン監督の持ち味であるミニチュアジオラマ感は控えめだが、寝台特急のシーンが楽しすぎて野外ロケの箇所がその分散漫に思えた。

「ボブという名の猫」

猫は世界を救う。と共に、イギリスの麻薬問題の根深さも十分に描かれた秀作。

「ルドルフといっぱいアッテナ」

3DCGアニメだが、子猫ルドルフの造形が絶妙なバランスの可愛さ。お互いの思いやりと目的意識の覚醒を年長者に教えられるテーマも自然に描かれてて良かった。

「誰も知らない」

YOU演じる母親の憎めなさ、悲劇と一時的な安定との揺さぶり効果で現実感が半端ない。あえて徹底的な無惨さを避けた監督の意図により、宙ぶらりんさが当事者意識を呼び起こす。

「貞子vs伽椰子」

まあ呪われた感がちょっとほぐされていいかもね…  劇場に足を運んでたら怒ってもいいけど(笑)。メタパロディっぽいセリフ『この人すごい無駄死にだね』は面白かったです。

ウインド・リバー

現代ネイティブアメリカンや辺境在住者の現実に思いを馳せることは出来たが映画としてのルックスはややもの足りず、ドラマシリーズの秀作回といった印象を持った。

2019年12月に読んだ本まとめ

神戸・続神戸

神戸・続神戸 (新潮文庫)

神戸・続神戸 (新潮文庫)

  • 作者:西東 三鬼
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/26
  • メディア: 文庫
俳人・歯科医・輸入商とさまざまな顔を持つ著者から見た国際都市・神戸の戦中と戦後の雑多な光景。自分はどこか枯れた空気と乾いた匂いが漂う『続神戸』がより好き。進駐軍に雇われて水道修理の手配に奔走するエピソードが面白いし、俳人としての迷いもいい味わい。

未来のアラブ人

未来のアラブ人――中東の子ども時代(1978―1984)

未来のアラブ人――中東の子ども時代(1978―1984)

シリア人とフランス人の両親を持つ1978年生まれの作者が、バンド・デシネのシリーズとしてかつての自分の視点から暮らしてきた国の様子を描く。中東の民族風習、国家行政の西欧社会との違いは言葉の綾でなく驚きの連発。が、子供のイデオロギー抜きの目線で語られるので読んでいてストレスがない。不思議とどの国家もどの個人も愛すべきところがが見つかってしまう不思議なタッチ。

2019年11月に観た映画まとめ

 

楽園 ('19 監督:瀬々敬久)

現実に起こった複数の事件を元にしたと思われる小説を映画化。同監督の前作「菊とギロチン」と比べると展開が粗かった(日本の集落共同体では直接的な人狩りリンチの例はあまりないと思う)りして、なるほどインディペンデントと大手配給の違いはこのあたりかと考えたりした。さて、この映画の胆は若い二人の関係の変遷にあり、男の方はすわストーカー化かと一瞬身構えるものの会話シーンを重ねる事で適度な距離感に落ち着き、なるほど希望をここに置くかと感じた。それにしても佐藤浩市をこうキャスティングするかという衝撃は強い。『もう燃えていたから』じゃあないんだよ。

 

ボーダー 二つの世界 ('18 スウェーデンデンマーク/監督:アリ・アッバシ)

定職に就いているもののどうしようもない疎外感を持つ者と、社会の外にいながらに既に悩んでいない者。精神の種類をおなじくする二人が出会ってさあどうなるかというストーリーだが、ここにあえて性別を攪乱させた設定が入ってくるのが表現最前線。着陸の仕様のなさは印象付けられるが、多様性を重んじてフレンドリーな夫婦に見舞われた悲運の決着は劇中で描いてほしかった点。踏みきり不足マイナス0.5。

 

ピータールー  マンチェスターの悲劇 ('18 イギリス/監督:マイク・リー)

長引く不況にあえぐ労働者階級のデモ集会が弾圧の惨劇に見舞われるまでの過程を描くことで、200年経った今も続く階層社会のひずみを直視する試み。19世紀のイギリス風俗だけでも見応えがあった。キャスティングも絶妙なバランスで素晴らしい。最後に驚いたのは「ピータールー」が正確な地名ではなく『ウォータールーの戦い』をもじったものだということ。新聞記者のノリはいつの時代も変わらない…

 

蒼穹のファフナーTHE BEYOND 第二章 ('19 監督:能戸 隆)

半年のスパンを経てのビデオグラム先行上映。第一章から一気に死の影が濃くなり(そうか、自分が観にきたのはファフナーというシリーズだった)と思い知らされた。そして相変わらず、積み重ねた設定ギミックを組み合わせ展開させる手際が見事だ。

 

 ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん ('15 フランス、デンマーク/監督:レミ・シャイエ)

帝政末期のロシア、貴族の少女サーシャが北極探検に出向いて消息を絶った祖父を探す冒険に出る。

とにかく面のフラットさと色彩調和を活かした画面が全カット美しく、一時間半ずっと続く眼福にため息がもれそうになった。くわえて刻々と移る情勢、次々に訪れる苦難、あわせて仄かで微笑ましいロマンスの予兆まで。映画に求めるすべてがここにある。サーシャが確認したかったのは祖父の生存以上に彼の誇りの在りかだったと言外に分かる終幕も大好きだ。

 

2019年11月に読んだ本まとめ

私たち異者は

私たち異者は

私たち異者は

現代アメリカを舞台にして、社会の変容や人間関係の動きを淡々と綴る。表題作は突然オバケとなった男性と孤独な女性ふたりの奇妙な暮らし。ひなたに舞うホコリを眺める赴き。9.11以後の不安の連鎖を寓意した「平手打ち」や思春期にある異性同士の友達の水面下を映した「白い手袋」などいずれも深夜の物思いのような独特の味わい。

童子

室生犀星集 童子―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

室生犀星集 童子―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)

近代文豪の怪談集の一冊。といっても幻想文学の色が強い短編が多い。金沢市白菊町にある犀星の育った寺院付近の雰囲気が反映した作品もいくつかあり、特にストレートな怪談である「三階の家」の舞台は犀川大橋近くに心当たりがある。逆に浅草を舞台にした「幻影の都市」はサイバーパンクの予兆さえあるカラッとした手触りで、犀星の作家としての幅の豊かさを知った。