堆塵館

堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)

堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)

ロンドンの郊外にある膨大なゴミの山のその真ん中にある寄せ集めの屋敷<<堆塵館(たいじんかん)>>にて、物の声を聞くことができる御曹司の少年クロッドと、スラムから召使いに雇われてきたありふれた少女ルーシーが出会う。そして奇妙な習慣を伝統として貴族のように生きるゴミさらい一族に得体の知れない出来事が波濤のごとく襲うわけだが、その展開と多数の人物が絡み合うドラマとが相互に、時に織りあわさって語られるテンポがシンプルにして淀みなく、単純に物語として楽しめた。豆道具を眺めるような趣向で細部に凝った設定を引き立てる、作者自身によるふんだんな挿絵もすばらしい。この面白さはエンデの「はてしない物語」によく似ている。三部作の一冊目なので、あと二冊も読めるのが嬉しい。