歪み真珠

歪み真珠

歪み真珠

極めて、視覚野を刺激してくるという意味では、短編小説集というよりも散文詩集に近い一冊。手許に置いておきたくなるのは、装丁のためだけではない。『女神の通過』のように個別絵画への賛は付いてないものの、『娼婦たち、人魚でいっぱいの海』からはたやすくデルヴォーの諸作が脳裏に浮かぶし、『マスクとベルガマスク』の鮮烈な結部にはまるでオペラのような即物性が。文章による諸々の美術の再現。