謎の彼女X

大林宣彦の映画作品のような、世代をひとまわり遡ったノスタルジックな空気感が、セックスの暗喩をソフトに和らげてくれるというか、成長期ホルモンに浮かされた同士の男女のやりとりの甘酸っぱくもこっぱずかしい居たたまれなさを昇華してくれている。手堅いようでいてなかなかタイトロープな演出ぶりで圧倒された初回だった。ヨダレ、きれいか汚いか。あらゆる表現に命題が必要だとすれば、この狭い世界を描いていくように思われる作品にも、立派に一つのミステリがすでに成立しているのだ。