「進撃の巨人」第6話『少女が見た世界 -トロスト区攻防戦 2- 』

主人公が前回ラストで死亡したことを反映するかのように初めて省略されたアバンをはじめ、地味な回想エピソードと思わせて演出コントロールがぎゅるんぎゅるんに効いた回。人間の常に揺れ動く混濁した道理(ミカサの生家を襲った賊たちが“専業”でないことは台詞や挙動から分かる)をより際立たせるかのように短くクローズアップされる事物(たとえば、血のりがどっぷりと付いたナイフ、視界に向かって叩きつけられるかのように迫る雨粒)の静けさという対比は、これまでの荒木哲郎監督の作品でも頻発する手法で、その完成度の高まりぶりを目のあたりにしてなかなかに昂揚させられるものがあった。
内気で思索に向いているアルミンの回想により“幅の広さ”、おとなしいごく普通の少女だったミカサの回想により“深度の大きさ”をそれぞれ示されたエレンが生来もつカリスマと呼ぶべき影響力を主幹(エレン本人は現在時間軸で死亡状態なのが構成のキモ)に、ミカサという作品ヒロインキャラの掘り下げ、数え切れない矛盾が衝突しあうという世界観をテーマにまで昇華させて提示した作品基本ラインとを、同時に短い尺に詰め込んでいる高密度パッケージぶりは、本年屈指の出来といえそう。作画は中低位安定レベルなのに、脚本と演出とのカバーでここまで出来る!