最終話はロジックのツカミが弱めで、原作ゲームとの兼ね合いになかなか苦慮しているなあと思わず慮ってしまった。自分の希望としては、脚本も演出ももっと伸び伸びと飛躍して、このアニメシリーズならではの解釈でクッキリとした着地点を見せてほしかったけど。具体的にいえば、オリオンやニール(このポッと出のデウス・エクス・マキーナはいただけない。前もって存在をほのめかしておいてほしかった)は、ヒロインの希望通りの恋人との結びつきがある世界を選べと申し出るべきだったと思う。そして彼女には、その前提そのものをつっぱねて彼らといまだ出会ってない世界へ踏み出していってほしかったと思うのだ。胸にこれまでの恋人たちとの衝突と和解の思い出を抱えて。
なお、全体としては演出に一本筋が通っており、透明感がある都会描写の心地よさとともに独自の空気をかもし出すのに成功しているだけでも、出色の作品だったというのが総合評価。逆ハーレムものでありながら、男性キャラのエゴを強調して描写するバランスの取り方も新鮮味があってよかったと思う。
