「社会的うつ病」の治し方

「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか (新潮選書)

「社会的うつ病」の治し方―人間関係をどう見直すか (新潮選書)

鬱病患者における過去(ざっといえば責任感が強く生真面目)と現在(他罰的な発言が多く場面の変化によりケロリとしている)の印象の違い、その背景にある精神医療サイドの変遷などには触れられているが、社会全体の変化については紙幅の都合であえて触れられていない印象は類書とさほど変わらない。が、この本の潔さは明確に患者(ないし近親者)として現実に苦しんでいる対象に向けて後半に実践性の高い、処方箋的マニュアルのさわりを置いている点にある。カウンセリングを受けたり服薬していない自分にとっても、念頭に置いておきたい実りある読書となった。