戦う司書と神の石剣

シリーズ4作目。残虐で無軌道な殺人者ながら見捨てられた少女の痛々しさを内面に持つアルメが非常にやるせない。文体温度の低さを現実を映し撮る説得力に変える作者の手練にもますます磨きがかかっている。アルメやパーニイ、すべての神溺教団信者にとって、死んだあとですらも平凡な存在となるのは悶えがくるほど厭わしかったのだと思う。そしてそれは、この世の中において宗教に純粋な熱意をそそぐ人々とそう遠くはない心理だとも。