交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい('09/監督:京田知巳)

一般的評価がいかほどのものになるか、計りづらい作品になっていてちょっと困惑。コンパクトにまとめあげる必要があるTVシリーズからの再構成スタイルだけに、アネモネに顕著なキャラクターからの神経症描写の削除のみが、忌憚なく薦められるポイントか。とはいえ、軍と独立愚連隊との両者に翻弄される形となる、物語の主人公であるレントンとヒロインのエウレカの心情の流れがどうにもつかみにくかったり、レントンのカウンター存在であるホランドをはじめとした、ネバーランドの子供たちの目指すところが劇中の説明だけではなんとも分かりにくかったりと、TVシリーズでの瑕疵が埋められていたかといえばそうでもなく、逆にサブカルチャー・テクスタイルとしてのメタフィクション性が先鋭になっている事もあって、どうにも作品としての収まりがよろしくない。だけど、なんとなくの空気として、ドミニクとアネモネというもう一組の主人公カップルとして断片的に描かれた恋人たちのメルヘンな道程の描かれようだけ抜き取って、この作品が嫌いにはなれない自分だった。あと観測者としての役割を持たされた女官僚もいいね。