「エウレカセブンAO」全24話視聴完了

シリーズ構成面ではやはり失敗していると言わざるを得ない風呂敷の畳み方で、その煽りをくったレントンの行動の不可解さは笑えてしまう箇所もあったぐらい。総じて、アイデアは良いのに準備が足りずにそれを活かしきれていない作品だった。直接的な敗因の最たるものはガジェット要素に多く暗喩を背負わせすぎて視る者をおいてけぼりにした点。個別の場面では含みが豊かに機能していた事もあっただけに、なおさら惜しまれる。ただ、それでも自分はこの作品が当初のまま、気に入っている。それは、少年アオの自立が爽やかに描けていたためであり、そこを遡ってみれば、『母恋し物語』として一本の筋が鮮やかに立ち上がってくる。そのために前シリーズで主人公とヒロインだったレントンエウレカですら副要素に使いきっている。そういう作り手の勇気もまた、嫌いではないのだ。そして、着目すべきはそこから展開されたジュブナイル作品としての終着点。主人公アオは生き別れていた両親の愛と苦悩を知ることで、世界を自分自身の目で見ることを覚えた。エンディングテーマ曲である「アイオライト」の等身大な雰囲気がこれほど作品にマッチしたことはなかった。クレジット画面は、未来の不測を暗示するかのようにやがて黒一色となる。しかし、その直前に大写しされたアオの少したくましくなった笑顔に何の曇りも印象に加えられることはなく、そこにこの作品の力は集約されている。