二十年に及ぶ大河ファンタ
ジーシリーズもこれにて完結。親たちのかつての英雄的な活躍と色合いの異なる第二世代キャ
ラクターたちの生き様は、地味ともいえるけれどその葛藤の多さと自意識の複雑さこそが神々の存在が薄れた『人の時代』の特徴だったのだろうと読み終えた今は思う。これまでのワイス&ヒックマン作品における信仰心のひたむきな描かれ具合にはどうも非
一神教文化の国に住む者としてはわかりづらいところがあったけど、今シリーズでは
愛国心と宗教志向とが結びついたきらいのある
アメリカ社会の現状が投影されたようにも感じて、懐疑的な姿勢からくる切実さが文と文の間から漂っていた。簡明な文体で多層的なニュアンスを表すというワイス&ヒックマン節の持ち味もこの巻では十全に復活しているし、戦い
終結部のサプライズ具合もなかなかのものだし、あとはシリーズ第一作でもっとも哀れな存在の一人であったとあるキャ
ラクターの救済も描かれてたり(同時におそらくミーナへの救いの可能性も示す狙い)するので、ファンはやはり読むべきだと思うです。それにしてもミラーとレイザーの竜化身コンビは腐萌えすぎる。次点はゾンビー魔術師コンビ。