キリクと魔女2 4つのちっちゃな大冒険('05 仏)

一作目(レビューはし損ねてます)と同じくNHKBSの映画劇場で鑑賞。子供向けアニメの良作の条件は“子供たちにはナニナニであって/ナニナニであるように自分たちが願っている”とという『上から目線』からいかに脱却して、子供自身の目線でもって世界の多彩さを新鮮に味わい、敷衍する形でよりよき思考方向へと誘導するということ(その意味ではやはり宮崎アニメの最高傑作は「となりのトトロ」)かなと。このアニメではそれをまざまざと感じました。人並みはずれて小柄に生まれたことで村の仲間からも馬鹿にされたりもする主人公キリクが、小回りのきいた動きで土の中のトンネルを進んだり、畑に水路を掘ったり、かわいらしい土器を作ったりする様子は絵を動かすことの単純な喜びを見ているこちらも味わえる。アフリカの乾いた大地という設定舞台がほとんど動かない点に退屈さを覚えるものの、発想の転換をたゆまず描くシナリオの工夫ぶりと合わせて、アニメの原点的な楽しみがちゃんと画面に込められているシリーズです。ところでこの第二作は、第一作からの時間の経過のどのあたりに位置されるのかよく分からない面があるのだけど、最後の短編のキリクの魔女への興味を示した台詞によって第一作の結末につなげてある点は小粋なサービスだと思いました。