ナイト・ウォッチ

ナイトウォッチ

ナイトウォッチ

映画化もされたロシア産ファンタジー小説。光と闇の均衡を謀る『異人』組織の抗争を描いた三部作の一作目で、第二部「デイ・ウォッチ」の邦訳がつい最近出たばかり。現代ロシアを舞台にした小説を読む機会がこれまでなかったので、都市風俗描写がなかなか興味深かった。ホームレスの事はボムジと呼ぶらしい。実際にあると思われる流行歌の一節が時折挟まれているけど、歌詞が内省的だったりしてアメリカ文化とはやはりベクトルが違っているのが窺えたり。主人公の性格もまた内省傾向が強くて、心情描写は日本人にも馴染みやすいと思ったけど、行動の意図や魔術合戦の場面で何が起こっているのかについては分かりづらい点が多々あったのは少々読んでいて惜しい気持ちになった。