2018年8月に観た映画まとめ

ブリグズビー・ベア('17 アメリカ/監督:デイブ・マッカリー)
宇宙を冒険する英雄グマのブリグズビー。そのドラマシリーズを創っていたのは自分を誘拐して育てていたニセの父だった。ジェームズはその真実を知った後もブリグズビーへの愛着を失わず、ついには妹やその友人たち、共感してくれた大人らとともに続編を自ら作りあげるわけだが、物理的な障壁はともかく人間ドラマとしてはやや予定調和が感じられた。演出にもう少しシビアさがあればなと。ジェームズがすぐに信頼されすぎというのが最たるもの。ただニセ父役のマーク・ハミルは常にキュートで、特に刑務所に入る前の面談のシーンが実に人間的な温かみのある演技で素晴らしかった。
万引き家族('18/監督:是枝裕和)
ここまでリアルな日本の低流家庭を日常的な感覚で描いた映画はなかったかもしれない。しんどさの中にも笑いがあり、そして温かみの陰につねに欺瞞がひそむ。しかしどの家族も、神によって作られた約束の絆によって存在するわけではない。多かれ少なかれ、共に暮らし感情を共有することを自ら選んで集うものなのだ。それゆえに、心の拠りどころの宙ぶらりんさが耐えられなくなった少年の行為によって“家族”があっけなく瓦解する結末を、中心になっていた“夫婦”は受け入れる。子どもたちの心に何か残ったか否かについては、序盤での妻の言葉が補助線になるだろう。記憶と思い出は細胞が覚えているものだから。青い海が画用紙に描かれた基に、曇り空があることなど第三者はたとえ想像しようとしなくとも。
ペンギン・ハイウェイ('18/監督:石田祐康)
透明な浮遊感のある夏休みムービー。ストーリー展開すべてに腑が落ちたかといえばそうでもないけど、場面ごとに生活感と非日常感が入り混じったマジカルな雰囲気を感じたので、後に残る印象はまったく悪くない。男性の憧れの結晶のようなところがある「おねえさん」と対比する存在として、自我をはっきり持つ同級生女子の「ハマモトさん」が良い。