ローマ帝国で歴代皇帝の補佐役を務めた
ストア派哲学の徒
セネカが、家族や知人にアド
バイスのために送った信書三編。訳の分かりやすさ、リズムのよさもあって隔世の感がまったくない。見得や体裁のために、または自我をもてあますばかりにやりたくもない仕事や付き合いで時間や体をすり減らすのは、真に「生きた」とは言えないと喝破する
セネカの時代から数千年経った今でも私たちは『閑暇』を妨げるものを克服できていないわけで、最後は皇帝の命令で
自死せざるを得なかった彼ほどには困難な世に身を置いてはいないというのに、自分はまったく今現在を楽しむ覚悟が足りてないじゃないかと素直に思えた。