「有頂天家族」全13話視聴完了

最終話は矢三郎が弁天に持つ恋心へのフォローが薄かったのが少々物足りなかった。彼女が赤玉先生のもとへ戻ったのは、おそらく漫然とした退屈が下鴨一家が引き起こした仙酔楼での一大騒動で解消の目をみたからだと自分には思われたが、そのあたりもシナリオ上で多少の説明がほしかった気もする。淡々とした構成が飄々とした味を呼んでいたのも確かだが、最終話ではもうすこし派手なインパクトを期待していたのもまた事実。(…第二期ないかしら?)人間に化けることがすきな狸たちが、憧れの対象ともいえる捕食者たる人間に一泡吹かせた意味を作品上の空気全体に行き渡らせるようなハッタリというかケレンのようなものはシリーズのまとめとして欲しかった。逆にいえば、終盤までの四季折々の京都の風情を背景とした人(狸)情劇は大変に満足のいく渋いものだった。文学作品をアニメにする試みが時折あるのはうれしいこと。まだまだ開拓する余地のある分野だと思う。