2011年アニメ視聴のまとめ

今年も、常時10番組前後を録画するという当たり年に。
まずは「STARDRIVER 輝きのタクト。終盤はやや勢いが殺がれた観もあるんだけど、自己献身を許さずあえて痛みと冒険を、自身のみならず心を許しあった仲間にも強いるという思い切った最終話はやはり印象に残る。そして充実したビジュアルとケレンあふれるアニメート。ファンタジックな世界観ながら現代日本を舞台としていたという意味で通底するのは輪るピングドラム。こちらも観る者を煙に巻くギミックと事象描写ながら、メッセージはより切実でストレート。アニメソングの枠を最初からあえて意識しないレベルを目指したボーカル曲の数々もすべて逸品。CG処理での色彩豊かさを特徴に持つのは、実にサンライズアクションアニメらしいオリジナル企画だったセイクリッドセブン。堅実なキャラクター描写も一際光っていた。絢爛な都市描写に技術を十全に活かしたTIGER&BUNNY」は人気が爆発的に加速する様子も楽しかった。頭身の大きなリアル寄りのキャラクターが、ドラマとしてはオーソドックスな展開に沿って動く趣向はふしぎと新鮮。シリーズ構成の西田征史氏は実写ドラマでも人気の脚本家でこれからの動向に期待が持てる。妙に和むという意味では他にもRio RainbowGate!猫神やおよろず「ファイブレイン 神のパズル」など毎期に必ずひとつは好みに合うものがあったのも嬉しい。原作付き筆頭はへうげもの。原作よりもギャグや構図のインパクトは欠けるが、丁寧に作られており話の筋や人間関係の変化はよりわかりやすくなっており、色彩設計も美しい。一方、面白い原作をさらに笑えるブーストをかけるという難事に成功しているのが「よんでますよ、アザゼルさん。」、同じく水島精二監督のBLOOD-Cもボークすれすれの送球で人を喰った趣向に流れつつも、決めるべき最後はきちんとすぎるほどに決めてくれた。水島つながりではふたたび會川昇氏と組んでのオリジナル企画に挑んだ水島精二監督のUN-GOノイタミナならではの一般エンターテイメント・ファンへの目配りが効いたポップかつマニアックなシナリオをフォローする演出の息の合い方の妙味。放映中に設定の根幹に深く関わる内容の劇場版が限定上映されるというのは、反則にも近いがゲリラ的でやはり惹かれる。ノイタミナのシャカイ系では「[C] THE MONEY OF SOUL AND POSSIBILITY CONTROL」もオリジナリティの強いキャラクターデザインで、金融経済をバトル化するという唯一無比の独自性を見せた。ギリシャの金融破綻など、現実がアニメを追う形になったとも一部で話題に。しかしノイタミナは駆け足すぎるシナリオながら要所の演出では高いレベルを見せた「NO.6」といい、せっかくの題材を1クールで消費してしまうモッタイナイ感を一考してほしいものだけど。…ただ放浪息子はシリーズ構成でもって原作のエッセンスをこの上なく巧く抽出していた一つの実例に。これは水彩画風の淡いペイントも実に印象的な作品。もったいないといえば、実は惜しいところまでいってたのではないかと一人で思っているのがデッドマン・ワンダーランド。ひりつくような現状への絶望や自分への無力感など、ただの露悪主義ではない志は感じたものの、これもあまりにも短い1クールという尺の短さが構成を難しくしていたように思う。くやしいのはもう一件あって、それが「へうげもの」音楽担当者の刑事逮捕によってOP曲はじめ早々に変更があったこと。吉幾三ことIKUZO歌うテーマ曲はじめ、もしサントラが予定通りに出ていればあるいはトリプルHのアルバムほどの名盤になっていた予感がしたのですが… さて今年一番のダークホースはというと、大味連発のマーベル×アニマックスシリーズの中で期待度は一番低かったのに意外と渋かった「BLADE」。不死ははたして幸福なのかという普遍的なテーマを任侠映画ロードムービークリシェを引用して描いた点に軍配。

ではまあ、こんなところで。来年もたくさんの見ごたえある作品に出会えますように。