最終話のシナリオは蛇足気味というか、いったんは真紅との別れを受け入れた“巻かなかった方のジュン”が間を置かずに薔薇乙女たちと再会してしまっているのは収まりがいまひとつ良くない。第１話と最終話の微妙さには、原作販促という縛りを消化しそこねたのかなという想像も働くか、それをカバーするために構成の補助線として配置されたのが、劇中劇ともいえる絵本の存在だった。しかしそれも十全には機能したとはいえず、絵本のヒロインが最後の人形に託した望みがせめて明示されていれば、と考えてしまう。中学生ジュンが今度は逆に大学生ジュンに助力される展開をほのめかせるだけにしておき、その分の尺は哀れな雪華綺晶の心に沿うた最終話Bパートが視たかった。
とはいえ、自分は旧シリーズ以上にこの新シリーズでの薔薇乙女たちの描かれ方に共感が持てた。彼女らも自分の存在の成り立ちに思うところはあるものの、それぞれに気高さを杖にして生きている。時空と次元が交差するとともに、人間と人形の在り方もときに入れ替わる。それを舞台というモチーフを中心にして描いた企画の方向自体は、とても面白かった。個人的に非常に好きな作品。
