雲をつかむ話

雲をつかむ話

雲をつかむ話

雲と犯罪者とが、今回の作品の連想語。前者の要素からは、著者の通常どおりのするすると心に入り込む文体が綴られていくが、後者への双方向な視線からはかすかな不安や不快さが忍び込む。福島原発事故直後には、リベラルな空気が強いドイツでも日本人への偏見が増したとも聞いたので、その影響が著者の実生活にも多少は及んでいたのかもしれないと想像した。