「Another」全12話視聴完了

主人公にとってははやくから異常な状況においての最も近しい「戦友」だったヒロイン・鳴ですらも「他人」であり通したし、それは視聴者からの主人公・恒一への距離感も同様。シリーズ通して“他者が他者であること”の不安と無気味さを描き演出しきったスタッフの力量は大変なものだと思う。最もアニメキャラクターとしてアピールしてくる存在だった赤沢が死んだときの格別の哀切。ここにメタな感情を感じてしまったが、あるいは(萌えアニメの氾濫に疑問を呈することもある)監督一流のアイロニーが込められていたのかもしれない。母親を無くし、失くした恒一と鳴が、共謀し母親に近い存在を殺す犯罪ドラマとしても視られなくもない最終話は、これまでのどんなスプラッタ描写よりも恐ろしかった。死者よりも遠い他者は、いつも生の中にいる。非常な傑作。