「輪るピングドラム」全24話視聴完了

淡々としながらも、逆にいえば常にクライマックス状態という基本演出レベルのずば抜けた作品。直線的に進んでいるのかも不明なプロットへの説明のむずかしさといい、観念の世界で切実なアクチュアリティを描こうとしたその挑戦性はほとんど奇跡的。アニメでしか出来ない表現をこれでもかと見せつけるその演出度量は圧倒的であり、女性スタッフの意見を取り入れたという小物セレクトショップのようなハイセンスぶりはその独自色の強さのみで観るに値するカットの数々を生み出した。傑作という意味では2011年随一としたい。高倉家の兄妹たちがどれほどのつらさでもって何かを失い、生きていくためにどういう意味の必要さを持つ何かを得たのかは、一見してよく分からない。その分からなさを、抱えて<今>を生きようというのかこの作品が放つメッセージなのかもしれない。