UN-GO #4「素顔の家」

前後編に分かれたエピソードの事件解決編で、短い尺に詰められた推理と風刺のバランスが最高にスマートな回。人権を持たないゆえにあらゆる欲望をその義体へ実行できる人工知能R.A.I。その開発者であり自らも耽溺している佐々駒守が弁する「人工知能を好きに扱う事は誰も傷つけていない」という論は、一旦は敗戦探偵・結城新十郎に肯定される。しかし人間を害することを避けるプログラムが施されているゆえに嘘が付けないR.A.Iの特質によって彼の犯罪の盾とされそうだった欺瞞は暴かれ、新十郎が欲望と並立させて挙げた『正義』への万人の(うちのいくらかは持つかもしれない)欲求は果たされる事となる。その複雑な有り様に現実でつい最近さかんに論じられた「非実在青少年」をとりまく状況をみるようで、目が覚めるようなアクチュアリティを感じた。そんな堅くなりがちなテーマをポップにまとめあげた演出も全体で一貫しており、たとえば若い警部がR.A.Iのダウンロードされた冷蔵庫に手錠をかけるシーンはくだけすぎない馬鹿らしさが効果的だった。それにしても今回もっとも興味深く浮かびあがるのは、若さのわりに達観しているというか、あらゆる価値を虚無感スレスレにまでに相対させてしまっているらしき新十郎のキャラクター。このアニメ、実に面白くなってきている。