STAR DRIVER 輝きのタクト #8「いつだって流星のように」

ワコをめぐってタクトとスガタが本音をさらけ出し、語りあい喧嘩することで学園恋愛ものとして次のステージへと移り、同時に囚われの巫女だったサカナちゃんが解放されることによって綺羅星十字団の野望もステップアップへの予感がうかがえる。前者の展開によってロボットアクションものに期待される男性的な爽快感が刺激され、後者の描写によって叙情的かつ象徴面への女性的でセンチメンタルな想像が呼び起こされる。期待に過不足なく応えてくれた第一部「気多の巫女」完結編だった。結局は自分をみてくれないヘッドを見限る決意をしたサカナちゃんは、島にいる意味をすべてなくして外部へと旅立つことを決意する。バスに乗り合わせた女生徒たちに別れの言葉で送られるが、そこにあるのは開放感よりも寂寥感。彼女の青春ステージは一つの終わりの季節を終えた。狭く圧迫感のある偽りの楽園からの追放。そこで思い当たるのは、南十字島がイナカとヨソモノたちに呼ばわれながらも、しかしかなり新しくみえる車両のバスや、十分に洗練されてみえるショッピングモールを持っていることだ。あの島は都会の代名詞である東京の対極にあると設定されているのではなく、もしかして東京のメタファーそのものではないか? とすれば若いエネルギーが存在理由を掛けた挑戦コロシアムである『ゼロ時間』の発生装置を内臓した南十字島とは、浮き島化された東京、つまり現代の少年少女たちが生きる代表的な場である大都会を制作者があらわしたものではないか。