最後から二番目の真実

最後から二番目の真実 (創元SF文庫)

最後から二番目の真実 (創元SF文庫)

付記された牧眞司による解説の通りに、ディックにしては素直なアイデアストーリー系で読みやすいし楽しみやすい未来SF小説核兵器が用いられた第三次世界大戦により、人類は地上と地下に分断。前者は少数者の特権を守り続けるために誤った歴史に基づいた情報を地下住民へと流しつづけるという設定。ところがクライマックスは決してスペクタクルな方向に行かないあたりが、同じく解説子が言うとおりな感じに“なんでこうなるねん。ディックてへんてこなやっちゃなあ”てな風でその意味でも面白かった。…しかし伏線が不完全燃焼気味というかネタ説明不足なところもあるかも。それを差し引けば、メインキャラたちの純粋な性根が魅力的で好感が持てる作品。