今年、じゃなくて今月ももう終わりかー
「氷と炎の歌」シリーズ第一部「七王国の玉座」を原作とした『ゲーム・オブ・スローンズ』日本でも放映開始。
原作通りではあるが、序盤ということもあって戦闘描写がほぼまったく無いために性交シーンがやけに目立ってしまっているのはお茶の間視聴にそぐわず少々難儀だった(笑) いや、それにしても。原作再現性の高さはものすごい安定したレベル水準。舞台美術のみならず、キャストイメージまで小説での描写通りなのだから、これはドラマスタッフの意気込みを示すと同時に、原作者マーティンの、文章力の平明さと表現性の鮮烈さをも再確認できる結果に。つまり、みんなみんなが満足できる超ドラマです。画面のゴージャスさは、劇場スクリーンで観ても遜色なさそうだし。
付録映像として、ドラマ監督や脚本家のコメントも紹介。乱世における社会システムの過酷さというギャップ、それでも人間心理は現代と十分に通じるという妙とを描くという、制作者の"理解ってるっぷり"が分かってさらに期待がつのる内容だった。
ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ
ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV)
- 作者: ジョンル・カレ,John le Carr´e,村上博基
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/03/31
- メディア: 文庫
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ボウエン幻想短篇集
- 作者: エリザベス・ボウエン,太田良子
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 単行本
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なかでも、当時のオカルト趣味流行の熱気がうかがえる「林檎の木」が素晴らしい。ボウエンの所属していた保守的な中流社会への描写と、思い切った幻想世界への飛躍とのなめらかな接続ぶりが見所。その胆力ある筆致に惚れ惚れするが、収まるところに収まりすぎた着地点はその分だけ物足りなさを感じるきらいも。その意味では「あの薔薇を見てよ」の境界をはみだしたものと、それを忌避する側との双方への厭わしさを、微妙なラインで描いた緊張感の方が完成度は上といえるかもしれない。「五月はピンクのサンザシ」における会話文の用い方の巧さも強い印象。ボーナストラック的な付録があり、書誌資料として各書序文やエッセイの収録がファン必携の一冊として心にくい配慮になっている。
なぜ、「怒る」のをやめられないのか
なぜ、「怒る」のをやめられないのか 「怒り恐怖症」と受動的攻撃 (光文社新書)
- 作者: 片田珠美
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2012/07/18
- メディア: 新書
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