饗宴

饗宴 (光文社古典新訳文庫)

饗宴 (光文社古典新訳文庫)

プラトンが師ソクラテスを主人公に、その死後にしたためた対話篇。古き神エロス(私たちがひろくあさく認識している翼の生えた童神とはまた違う観念に在る)の恩寵とその世界への影響を、呑み仲間たちが夜っぴきで語り合う筋立て。ソクラテスの章を頂点として、その前座や後にくる混ぜっかえし論議という構成が読み応えあった。当時としては一般的だった少年愛に関する容疑が引き金となった刑死した師への、プラトンの真摯な擁護と読めるという解説部分も本編と同じほどに印象が深い。