「LUPIN the Third〜峰 不二子という女〜」第9話『湯けむり慕情』

前回で不二子は、囚われの身だった幼少時代の明確なフラッシュバックを起こしたわけだが、今回は偶然に目にした自分と似た性質の女への執着をルパンと次元の前で露わにする。そこで明らかにされたのは、不二子自身が「峰不二子という女」の全体像を把握しきっていない事であり、ハイスペックな怪盗としての能力も或いは別人格を持つことにより引き出しているかもしれないという危うい状態にある点。そのひび割れをあえて引き出そうとするルパンは、不二子をもう一皮剥けたさらにいい女としてエスコートしようとしている風にも見える。これは、若き峰不二子峰不二子峰不二子となる前の、不二子の物語だと、シリーズの骨格がいよいよ固まった回として非常に見応えがあった。(いまどきの作品には珍しく)あからさまな白痴美が痛々しい女を奪い合う舞台として、キッチュでエキゾチックな日本の温泉街という非日常空間を選んだセンスも功を奏しており、首入れ記念写真板→せっけん足すべり→残念水鉄砲でした!のギャグ三連弾はシリアスな中でのいい息抜きになっていた。