大鹿村騒動記('11/監督:阪本順治)

村で数百年前から行われている住民による歌舞伎。その実在するイベントをモチーフに主演の原田芳雄が原案を企画したという成り立ちを持つ作品。原田の追悼上映という意味合いか当初からの設定かは不明だが一律1000円という特別料金に一時間半という短めの上映時間は、暑い昼下がりをやり過ごすにはちょうどいい娯楽となった。練り不足もあるようなシンプルなプロット、ドキュメンタリーのように長すぎるような歌舞伎シーン、映画としては奥行きが浅すぎるような撮影カットが時折入ることなど、完成度としてはあまり高くないように思ったが、有名監督が演技派の豪華キャストを集めて、美しい秋の日本の里村をゆったりとしたコメディの舞台に選ぶというのは、今のシビアなご時世においてはそれなりに意味が感じられる。そしてちょくちょく眠りこんでしまいながらもとりあえず末尾までは観た自分。齢を取ってしまったのう。