池澤夏樹の旅地図

池澤夏樹の旅地図

池澤夏樹の旅地図

生まれてこの方、数年毎に居住地が自ずと移っていたという池澤夏樹の横顔、その作品アプローチを「旅」というキーワードで解き明かす。美しい写真が多数挟まれ、訪れた場所への思い入れを語るインタビューや世界各地の文化を紹介するアルバム・映画の10選に、テンポよく綴る幼少期の覚え書き(同じ北国でも雪質によって住人の性質は変わってくるなと冬に傘のかかせない場所の生まれである自分は思った)、そして現在から過去の記述へとさかのぼるような構成そのものが軽すぎない洒脱。書籍とムックの間を取ったような読本。巻末の既刊紹介がさりげなく資料性高い(とはいっても自分が読んだのは本書の初版奥付から四年後だが)。