機動戦士ガンダムUC (2)「赤い彗星」

当然ながら第1巻よりも説明台詞的なものは減るし、なにより人間模様の定番である三角関係の兆しを担う新キャラが主人公とヒロインの間に入るので俄然こちらの興味もそそられてくる。メカ戦と、組織同士の神経戦とのバランスも非常に計算されていて、作品としても商品パッケージとしても十分に及第点。作画密度や重層的な音響にも劇場にかけて遜色ないほど手が掛けられていることは、今回レンタルDVDで視て逆によく分かった。なお、監督の持ち味かなと思われるうちで分かりやすいのは画面内での中心にいるキャラの脇にいる人物の反応で、たとえばリディがミネバの軟禁された部屋から出てつぶやく言葉にかすかに反応する同期兵士、バナージに尋ねられてシャアとの関係を答えるフル・フロンタルに思わず目線をやってしまうマリーダなど、セリフ以外でも相互関係や人物の生い立ちが匂わされる丁寧な演出は、やはり繊細で見応えがある。メインとなっているキャラ三人は名家に生まれているわけだが、その背負い方にはそれぞれ違いがある。そこに思いを馳せるように誘導されるのは、ジュブナイルアニメとして作られているのだろうなと軸の確かさも感じる。