2018年11月に読んだ本まとめ

グランド・ブルテーシュ奇譚

 

グランド・ブルテーシュ奇譚 (光文社古典新訳文庫)

グランド・ブルテーシュ奇譚 (光文社古典新訳文庫)

 

 表題作はなかなかホラーチックな展開を見せるが、伝え書きのスタイルによりあくまで典雅。乗り合い馬車の事故の顛末「ことづて」にはバルザックの年上女性好きがストレートに反映されておりニヤリとする。新訳によって近代性を超えた現代性を感じた短編集。

旅のスケッチ

 

旅のスケッチ: トーベ・ヤンソン初期短篇集 (単行本)

旅のスケッチ: トーベ・ヤンソン初期短篇集 (単行本)

 

 旅先でのアバンチュールの予感とその空振りをプロットとする「髭」など、戦前の一般誌に掲載された大人向けの都会を舞台とした短編で構成。独身女性の孤独を旅行者の目から見た「サン・ゼーノ・マッジョーレ、ひとつ星」の一人称を(意図的にかは確信がないが)用いた叙述ミステリが鮮やかだった。