Sharing('14 監督:篠崎誠)

東日本大震災で夫を失った大学講師、卒業研究として舞台で震災被害者を演じる女子大生、孤独を募らせる男子大学生。三者の精神がそれぞれの沸点を迎える時、自身と他者、現実と虚構それぞれが共鳴する中で裂け目が現れる。
出てくる役者は整いすぎた顔立ちではないのだが、日が翳りはじめた時刻のような照明効果のためか女優が美しく見えたのが印象に残る。鬱々とした心理描写が続く割りにふしぎと飽きがこないのは演出レベルの高さと思われるが、それだけにメッセージ面に一歩踏み込んだラストがどうにも咀嚼しにくい。