既刊1巻。太平洋戦争直後。戦死した上司に「妻子を故郷の島に帰してくれ」と頼まれた主人公はひとり生き残っていた幼い娘を連れて絶海の孤島へと向かう。そこは、地図に載ってない謎の島だった-- という出だし
からしてワクワクする。第1巻ではハ
ニートラップとしか思えない島の娘の“据え膳”(未遂に終わる)、直後の唐突な殺人事件という島で起こったアメとムチという展開で終わるが、ボリューム的には十分に密度のある構成だった。謎解きを主体的に行っているのは途上の船内で出会った
進駐軍の命で動く若い役人で、主人公はただ右往左往しているだけなのが何だか面白い。舞台となっている架空の島は、まるで昔話の中のように自我のありようが
不定形なのが
民俗学の視点が感じられて印象に残る。