弱者の居場所がない社会

弱者の居場所がない社会――貧困・格差と社会的包摂 (講談社現代新書)

弱者の居場所がない社会――貧困・格差と社会的包摂 (講談社現代新書)

社会的包括--つまり生きる資金のみならず、人の中で甲斐をもって暮らすライフスタイルをいかに取り戻させるかに視点を置いた近年のセーフティネットの潮流について紹介した本。孤立気味に暮らす人が少なくない--そこには貧困率の増加も関連している--現在のこの国の実状を示す調査データが多く載せられている。
これからのより広く深いカヴァーを考える具体例として、作者が出会ってきた個性的なホームレスたちの生きざまが複数描きだされており、一度社会からはみだしてしまった人を包括する一筋縄の行かなさや、逆にその概念がはらむ重要性へと意識が導かれていく。