戦う司書と虚言者の宴

アニメ版では唯一省かれたエピソードだが、なるほど幕間の色が濃い(ただ軽薄なイメージが強いキャサリロの殊勝な一面がアニメで見られなかったのはちと残念)。目立つ戦闘シーンも、現場の第二線級といった感じの双方で派手さに欠ける。が、仕掛ける側であり狩られる側でもあったオリビアのただ生き延びたいという気持ちと他者の想いを命を賭けてでも伝えたいという相反する心情、同じくジレンマを持つ(前巻のノロティ編からの繋ぎ手でもある)武装司書見習いヤンクゥの、世界の理不尽とただ戦いつづけたい衝動と、それに屈してでも護りたい者がいるという葛藤とが重なりあう構図が、より目立つ構成になっているともいえるなかなか渋い巻ではあった。