千の脚を持つ男

千の脚を持つ男―怪物ホラー傑作選 (創元推理文庫)

千の脚を持つ男―怪物ホラー傑作選 (創元推理文庫)

ちょっとレトロなモンスター小説アンソロジー。現代風にUMAと呼ぶにはあまりにも実体があやふやな描写であり、SFとするにはどうにも科学検証がおざなり、寓話と捉えようにも即物的にしか見えない物語構造。好みが分かれる題材に思うが、古き良き趣を求めて読む分には統一が取れているセレクトぶり。自分はなぜか巨大な○○の姿をしたものが山や海かに弱いので「アウター砂州(ショール)に打ちあげられたもの」(P・スカイラー・ミラー)がベスト。次点は退屈ながら穏やかな生活に突然おとずれて序々に浸透してくるカタストロフの気配がじんわりと恐ろしい「妖虫」(デイヴィッド・H・ケラー)。