平ら山を越えて

平ら山を越えて (奇想コレクション)

平ら山を越えて (奇想コレクション)

同レーベルで先行した短編集「ふたりジャネット」よりもテーマをとらえやすい作品が多く、自分はこちらの方が好み。懐かしさと切なさとユーモアとローカリティに満ちた『ちょっとだけ違う故郷』が特に忘れがたい。若書きらしいシンプルさがしかし詩の硬質な美しさを生み出している『ジョージ』もお気に入り。巻末の出版データを見るとハリウッド映画のノベライズも複数手がけているようだけど、そのせいか『謹啓』には映像化することでより効果が上がりそうな表現が多いように感じる。