装甲機兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ劇場版('09/監督:高橋良輔)

ローラー走行しながら乱舞するかのようなAT大群のアバンが非常に印象的。3DCGでメカを描くエクスキューズがここで満たされている点含めて巧い。爆発や土埃エフェクトをわざわざ2D手描きにして馴染ませるという一手間具合もかつてのTVシリーズとの連続性を繋いでいて良いアイデア。ストーリー構成としても、前線の縒れてはほぐれる事を繰り返す小隊内の心理と、一見は取り澄ましたようでいて複雑極まる黒幕たちのやりとりという二重構造が、これぞボトムズ!という味わいで相当に渋い。善悪の次元を超えて人間を描こうとした精神の健在ぶりを、キリコの“人となり”ともども再確認した。(あ、でもファイルの中でどれが実験データでどれが紛れ込ませたブラフか分からんのか。…まあエピローグを見れば答えは明らかともいえるけど)